ターゲティングとは?

ビジネスのほとんどの形態は、商品やサービスを提供する側と受ける側に分かれます。そこに金銭などの価値の移動が発生して経済活動を続けることが可能になっているのですが、ある1つの商品を全世界70億人に向けてセールスすることはあり得ません。

それを国内に限定するのであれば「日本人をターゲットにした」という言い方ができますし、女性に限定する、店舗の半径3キロ以内にある一般家庭に限定するなど、商品やサービスを提供する側が受ける側を選択することをターゲティングと言います。

適切なターゲティングをすることで広告コストを抑えることができたり、商品やサービスを本当に必要としている人のもとへ届けることができます。逆にまったく必要としていない人への押し売りを避けることができるため余分なクレーム処理やイメージダウンを防止できます。

自分の持っている商品やサービスがいったい「誰の役に立つのか?」を明確に把握した上で、その相手に向けてお届けすることが必要になってきます。

育児をされている新米ママさんがたくさん集まる乳幼児グッズ販売店のレジ横に、男性用薬用育毛シャンプーを並べてもまったく売れません。半額にしても売れないでしょう。

価値とはもともと商品やサービスに存在しているものではなく、本当に必要としている人のもとへ届いたときに初めて生まれるものです。

お客様の美容に対する価値観と3つのグループ

美容人口という分類は全人口から見ればわずか3.5%かもしれませんが、美容への関心度の高さは人それぞれで大きく異なるため、ターゲティングをするためにはさらに細かく分類していく必要があります。

しっかりとターゲティングをすることができれば、そのお客様にどのようにしてあなたの価値をお届けすればいいのかを整理することができます。

さらに経営という視点から見たときにもターゲティングが必要です。新規客の獲得から再来店へ導き、固定客として継続的なサービスをご提供していくためには、まず最初に第一回目のご来店をしていただく必要があります。つまり新規のお客様になっていただける見込みある方へターゲティングすることで効果的な集客ができるのです。

今回はターゲティングをしていく基準のひとつである「美容への関心度」で分類をしてみましょう。

美容への関心度 割合 年間ご利用金額
①低い 62% 32500円~44000円
②高い 28% 77000円~95000円
③中間 10% 50000円~64000円

美容への関心度が低く、あまり価値観を感じていないグループの傾向として、美容室選びは基本的に近場で済ませるタイプが多いです。こだわりが少ない分、自宅からすぐに行けて安い美容室を選ぶ傾向があります。

逆に美容への関心度が高いグループは流行に敏感であり、常に新しい美容室を発掘し、美的欲求を満たしてくれる価値のあるサービスを求めて流動的になる傾向があります。

最後に関心度が高くもなく低くもない中間のグループは美容室を1つに固定している傾向があります。ある程度の関心がありますので「どこでもいい」というわけではないものの貪欲に求めるほどでもないという価値観から現状維持を好むようです。

では、経営という視点で見た最適なターゲットとは?

美容室という固定店舗であることから近隣地域にターゲットを絞り、見込み客の割合が多い①関心度が低いお客様がターゲットとして最適です。②のグループはご来店いただけたとしても離脱する可能性が高いですし、③のグループはそもそもご来店いただくためには大きなアピール(コスト)が必要になってしまいます。

【クイズ】消費行動が最も活発な世代は?

美容への関心度が低い近隣地域にお住まいの方へターゲットを絞りましたが、もうひとつ決まっていないことが世代です。美容への関心度が低いとはいえ美容人口に含まれる層ですので、できることなら消費行動が活発な世代に焦点を絞れるとより効果的な集客が可能になります。

かつては50代や60代、それ以上の世代の消費行動の活発さが注目されていましたが、現在ではその世代に変化がみられます。先ほどのクイズの答えですが、実は40代が最も消費行動が活発になっているです。

そして、最適なアピールをするためには、ターゲットの傾向を掴む必要があります。

この世代は幼少期にバブルを経験しており、同時にバブルの崩壊から100年に1度の大不況を経験している世代です。これらの背景を踏まえた上で、実際の40代の傾向を整理すると次のようになります。

  • クオリティ重視 ⇒ 施術力が重点的に評価される
  • 経験豊富で高い知識を持っている ⇒ 専門性に安心感を覚える
  • 交流が活発で広いネットワークを持っている ⇒ 口コミの影響が大きい

ターゲットに最適なメディア

近隣地域にお住いで美容への関心度が低い40代のお客様へ最初のご来店をいただくためにアピールする最適なメディアは、以前にも記事にしました手作り新聞です。

「ターゲットを絞って手作り新聞を配布するなんて無理でしょ?」と、そう思われましたか?確かに家の表札に「私は美容に関心がありません」「私は40代です」とは書いてあるはずもありません。ましてや3.5%の美容人口にすら入っていないかもしれません。

しかしピンポイントで手作り新聞を配布することができなくても、次のことを実践するだけでターゲットを浮き彫りにすることができます。これは一種のフィルタリングと言えるかもしれません。

1つは「文字の大きさ」です。
情報をたくさん詰め込みにはある程度は文字を小さくしなくてはいけませんが、ご年配の方は文字が小さすぎると読むことすらあきらめてしまいます。「読む」という行為に「知りたい」という欲求以上の苦痛を感じてしまうのです。これは逆の働きをして60代以上のご年配層をターゲットから外していることにもなります。

もう1つは「情報の種類」です。
各年齢層には同世代でしか共有できない時代や流行や価値観を持っています。今の10代の若者に「タイガース」の話題を振ったところで音楽グループなのか野球の球団なのか区別がつきませんし、60代の方に「ももクロ」の話題を振っても食べ物と勘違いされてしまうかもしれません。40代には40代にふさわしい話題や関心事があるのです。

難しい?

ターゲットにピントを合わせた手作り新聞を書くことが難しく感じておられるかもしれませんが、たったひとつ大切なことは「お客様の顔を思い浮かべながら書く」ということです。

もし既存のお客様の中に美容への関心度が低く近隣にお住まいで40代の方がいらっしゃれば、その人のためだけに情報発信するつもりで、その人の顔を思い浮かべながらペンを走らせてみましょう。

「あの人はこんなことに興味があるんじゃないかな・・・」
「あの人はこんな悩みを持っているんじゃないかな・・・」
「あの人にこんな価値をお届けできたら喜んでいただけるかな・・・」

そんなあなたの言葉に必ず「あの人」は反応してくえるはずです。手作り新聞をキャンペーンチラシと混同されている方が中にはいらっしゃるかもしれませんが、値引きはいっさいする必要はありません。お客様にしっかりとお伝えしなければいけないのは、価格より価値です。