見えない顧客満足度

サービスを提供していく上で最も重要視しなければならないのが「顧客満足度」です。お客様に感動に近い満足感を提供できてこそ継続的な営業活動が行えるため、すべての業種において顧客満足度を計測し、向上する努力がされています。

計測するための最も簡単な方法はアンケートでしょう。お店で提供している様々なサービスについてどの程度満足いただくことができたかを質問形式で把握します。

アンケートにお答えいただいたお客様には何かしらのプレゼントを用意し、お礼の気持ちをしっかりと表現しましょう。人はみんな「誰かの役に立った」という喜びをもっていますから、次回のアンケートにもお答えていただきやすくなりますし、サービス向上のためのアイデアを見つけていただけたりします。

何が欲しいの?

顧客満足度を上げるために必要なことは計測だけではありません。もうひとつ重要なことはお客様のことを想い、お客様の求めているものを予測することです。

もしかするとお客様は自分の満足がどうやって満たされるのかに気づいていない場合もあるのです。

有名な話ですが、あるホームセンターに男性がドリルを買いに来られました。店員はお客様のためにお店で販売しているドリルの説明を丁寧に分かりやすくお伝えしました。

「こちらの製品にはこのような特徴があり・・・」
「コストパフォーマンスに優れているのは・・・」
「使用頻度が高い場合にはこちらの方が・・・」

しかし男性が購入して帰ったのはドリルではなく、穴の開いたベニヤ板だったのです。男性も自分でドリルが欲しいと思ってホームセンターに来たはずだったのですが、欲しかったのはドリルではなかったのです。

サービスをご提供する前にお客様が何を求めているのかをじっくりと予測することが、最終的にはお客様の満足度につながっていくのです。

グルーピングの基準

お客様ひとりひとりに対して満足がどこにあるのかを予測する際に、基準を作っていくつかのグループに分けておくことで予測しやすくなることがあります。

例えば高級な商品からお手頃な商品まで取りそろえた雑貨店があったとします。ベンツでご来店された高価に着飾ったお客様と、自転車でバーゲンの帰りに立ち寄られたお客様とではご提案する内容が変わってくるのは当然でしょう。

ベンツでご来店された方に300円のピアスがお似合いだとお勧めしないでしょうし、バーゲン好きな方に入荷したばかりの120万円の絵画をおすすめすることはできません。

すぐにできるグルーピング法

グループ分けの基準は数多くありますが、今回は来店頻度でグループ分けをしてみましょう。どのくらいの周期でご来店されているかによって3つのグループに分け、それぞれを分かりやすく色で区別します。

  • 2ヶ月以内に1回のお客様は青色 
  • 4ヶ月以内に1回のお客様は黄色 
  • 4ヶ月以上に1回のお客様は赤色 

カルテに色をマークしておくことで見た目ですぐに把握することができます。

最適化

来店周期でグループ分けしたお客様について満足の予測を立てていきます。(今回は来店周期のみでグループ分けしていますが、実際にはより多くの情報をもとにして予測することになります。)

青色グループ

こちらのグループは2ヶ月も経たないうちに再来店いただいているオシャレ度の高い超VIPです。わざわざカルテを色分けしなくても何度も頻繁にご来店いただいているお客様ですから、電話口の声を聴くだけでもあなたにはピンとくるほどのお客様です。

パレートの法則をご存知でしょうか?80:20の法則とも呼ばれていますが、世の中に存在するものを割合で考えたときに、ほとんどの出来事がこの「80:20」の割合に当てはまるという法則です。

  • 売上の80%は20%のスタッフが上げている
  • 売上の80%は20%のメニューが上げている
  • 売上の80%は20%のお客様から上げている

どれほど20%のVIPなお客様が有難いことかは言うまでもないでしょう。

さて、来店周期から見た場合、どのような満足が考えられるでしょうか?オシャレ度の高さや来店周期の短さから考えれば、お客様を飽きさせないメニューをご用意する、お客様を飽きさせないヘアスタイルを提案するなど、いつも新しい何かを提供する必要があります。

また来店頻度が高いのでメイクやスキンケアについても丁寧にお客様のニーズにあったものを細かいフォローとともにご提案することができます。紫外線の季節、乾燥の季節、トレンドや新商品などお客様にとってワクワクされる新しい何かを提供してあげましょう。

人間にとって最も退屈で苦痛なことは、いつも同じだということです。

いくら優れたサービスであってもいつもいつも同じメニューと同じご提案と同じ結果では、いつか飽きられてしまいます。お客様がご予約の電話を切られた後にふと期待感に微笑んでしまう、そんなご提案ができるお店を目指したいものです。

黄色グループ

こちらのグループはほぼ1年に4回くらいの来店頻度ですので、前回ご来店頂いたときから季節が1つ変わっていると考えられます。春に来られたお客様は夏、夏に来られたお客様は秋というように前回とは季節が異なるため、季節に合わせたご提案が必要です。

春らしく、夏らしく、秋らしく、冬らしく、もしかするとこのお客様は季節の変化に合わせて衣替えをするように新しいスタイルを求めてご来店されているのかもしれません。

また季節に合わせたスキンケアやメイクのご提案もさせていただきましょう。お客様がこの季節を存分に楽しんでいただけるようにお手伝いできれば満足度もきっと高まるはずです。

満足度をアップさせて黄色グループから青色グループを目指したいお客様です。

赤色グループ

1年に1回から2回程度のご来店であるため、半年から1年の長期間に対応できるご提案が必要です。どちらかと言えば行事があったり必要に迫られてご来店されているお客様です。

青色グループや黄色グループのお客様に比べてご来店頻度が低いため、より一層お客様とのコミュニケーションの必要性が高くなります。

また次回のご来店までの期間が長いためにケアのご提案は難しいでしょう。まずはご要望にしっかりとお応えした上で感動をご提供し、季節に合わせたケアの必要性をご提案して黄色グループを目指しましょう。

見えてくる顧客満足度

今回は「来店頻度」というたったひとつだけをピックアップしていますが、たったひとつの要素であるにも関わらずお客様が求めているものが変化しているということに気づくことができます。

求めているものが変化しているということは、当然ご提案すべき内容も変化してくるのです。目の前のお客様がいったい何を必要としているのか?お店からお帰りになる時にどのようになっていたいのか?どうすれば感動をご提供できるか?このように日々洞察力をトレーニングすることで、あなたの感動を生むズバ抜けた提案力がグングンと伸びていくことでしょう。