薬品によるトラブル

美容室経営ではパーマ剤やカラー剤を含む薬品によるトラブルリスクが常に潜んでいます。お客様からのクレームでは、かゆみ・痛み・しみるなどといった苦情が多いようです。

なぜそのような症状が現れてしまうのかという原因は確実に存在しています。発症のメカニズムや対処法などを適切に把握しておくことでいくらかの件数を未然に防ぐことができますが、それでもお客様のコンディションは一人一人違うために完全に防ぐことはできないでしょう。

このようなリスクを最小限に抑えるためのひとつと方法は、お客様にアレルギー反応が現れるかどうかを確認するパッチテストです。パッチテストを怠ったがためにお客様の地肌にアレルギー反応やトラブルが発生し、莫大な補償金や治療費を請求され負担しなければならない事態にも陥りかねません。

またこのような事件を起こしてしまえばその地域での悪い評判は瞬く間に広まり、顧客の流出は止まるところを知らず取り返しのつかない経営状態に落ちるまでに多くの時間はかからないでしょう。

PL法はご存知ですか?

PL法とは製造物責任法のことであり、製造物によって被った損害を賠償する責任を定めた法律です。製造・加工されたものの欠陥やその警告を怠ったことによって引き起こされた被害が出た場合にそれを保障しなければいけません。

PL法は製造加工物に対する法律ですので主に製造業者(メーカー)に影響力のある法律です。つまりサービスの提供者はそれに含まれていませんが、製造物の欠陥に気付いていながら警告を怠れば対象になります。いずれにしても消費者側から提供者への目がより一層厳しくなっていることは事実です。

言い換えれば、安全性がより重視されるようになり、美容室においても安全な施術とともに苦情処理対応体制の構築が望まれる時代なのです。

海外から見れば様々な場面において日本の販売者は顧客に対して過保護だという意見が大半ですが、同時にその心配りに感動する外国人もまた少なくありません。それが日本らしい思いやり文化であり、お客様の安全性を最大限に高め、またそれが求められている社会だと思います。

美容室とお客様を守る保険

予期せぬ事態が発生してしまった場合には被害者の迅速な救済と、美容室・理容室様の賠償履行による経済的損失のカバーが必要です。いざというときの備えがなかったばかりに、たったひとつの事故がスタッフやその家族を路頭に迷わせてしまうかもしれません。経営者であれば命綱なしに綱渡りをしてはいけません。

準備されていますか?

例えば次のような危険があります。

美容・利用危険

  • 薬剤・化粧品誤使用によるお客様の皮膚のカブレ
  • 不注意による、使用説明書にそった使用がされずに発生したお客様の皮膚トラブル
  • カミソリ・ハサミの使用ミスによりお客様に切り傷が発生

施設危険

  • 美容・理容機械の操作ミスによるお客様の負傷
  • 床を濡れた状態のままにしお客様が滑って転倒・負傷
  • 看板の落下・転落による通行人の負傷
  • 美容・理容施設のガス爆発によるお客様の負傷
  • 美容・理容施設のガス不完全燃焼によるお客様の一酸化中毒

これらの不測の事態に備えるためにPL保険があります。被害を受けられたお客様やそれを賠償しなければいけない美容室・理容室様を経済面からサポートする保険です。

ヘアカラーによるトラブルのPL保険での補償例

年齢不詳、仕事有、女性で2週間休業した場合
休業補償…¥4,000/日
治療費 …実費(領収書)
交通費 …電車、バス、タクシー実費、車ガソリン代として¥15/Km
慰謝料 …¥100,000(場合によっては何年間か技術料金のサービス)

もちろんこのような事例が発生しないように努めることが大切ですが、万が一のときには莫大な経済的負担が増える可能性があります。いくら細心の注意を払っていたとしても何が起きるか分からないものですから、経営を不慮の事故による、突発的損失から守るだけでなく、被害を受けられたお客様に対して速やかな救済をすることも大切です。