夢の独立開業

苦しい修行のような毎日を積み重ねて一流のスキルを身に付け、自分が提供できるサービスに合格点をあげられるようになれば、自分のチカラがどこまで通用するものか試したくなる時が来るでしょう。

自分のお店を持ち、自分のお客様を招き、自分のスタイルと最高のサービスを提供し、それがどれほどの人に認めてもらえるか・・・独立という夢を持って日々頑張られている美容師さんもいらっしゃるかと思います。

もしかすると、美容師として生きていくと心に決めた日から、独立開業という大きな夢に向かって精進されている方もおられるでしょう。

夢は実現するための行動を始めた時から目標へと変わります。絵空事ではなく、今立っている場所から目標まで定規でまっすぐな直線を引けば、それが目標達成までの最短ルートであると言えるでしょう。

これまでに多くの方の独立開業を二人三脚でお手伝いして参りましたがその際につくづく大切だと感じたことは、これから独立するスタッフがこれまでお世話になってきた美容室様との良好な関係を保ちつつ円満に退社することです。

お客様が満足を感じておられるのは「美容室+美容師」であり、どちらか一方にだけ依存していることはまずありません。お客様にとって美容師さんの独立とはそれら2つの要素が分裂することを意味しており、これまで得られていた満足感を自分の未来から奪われてしまうかもしれないという不安要素でしかないのです。

お互いにサポートしあえる関係を継続しながらWIN-WINの未来が築けるように特別な配慮をしなければいけません。

銀行から融資は受けられる?

もしあなたが独立開業を決心したなら・・・真っ先にクリアしなければならないことが資金です。人望や施術力もこれから独立する美容師として大切かもしれませんが「先立つモノ」がなければ話は前に進んでくれません。

いくら固くハンドルを握りしめて鼻息荒くアクセルを思い切り踏み込んでも、その車にガソリンが入っていなければ1ミリも前には進んでくれません。あなたには車を安全に運転する技量も経験も公的機関の証明もある・・・それでも動かないものは動かないのです。

さて、必要となる開業資金が完全に貯蓄できてから独立に踏み切りますか?あなたの預金通帳に必要なだけの金額が印字されるまでにはそれなりの月日を必要としますので、ほとんどの場合は銀行からの融資を受けることで、今動き出すことが可能になります。

開業資金 = 自己資金 + 銀行融資

銀行から融資を受けるためには当然厳しい審査を通過しなければいけません。「お店をやりたい」「ハイ、そうですか」とお金を貸してくれるようなバブリーな銀行はどこの世界を探してもありませんから、融資を受ける(審査を通過する)ための準備が必要です。

まず自己資金についてですが、親や兄弟、親戚など縁故からの支援よりも、開業のためにコツコツと貯蓄してきた自己貯蓄型の方が銀行の評価は高いです。銀行の入金記録で毎月定額が預金されていることが証明できれば、開業に向けての真剣さも伝わり印象が良いでしょう。

そしてもうひとつ準備することで格段に審査が通過しやすくなる書類があります。審査では何が重要視されているかご存知ですか?銀行にとって少しだけ嫌味な言い方をすれば貸し付けた金額に対して「利息を足して回収できそうか?」ということになるでしょう。

つまりは経営が黒字化することを確信づける何かが必要になってくるのです。ロマン溢れる夢物語を情熱的に語ったところで、銀行は男気で大金を貸してくれるほど甘くはありません。

書類作成

経営が軌道に乗って安定的に黒字化することを印象付けるために必要な書類とは「出店計画書」です。この計画書へ独立開業と経営のために必要な情報を可能な限り具体的に記載します。

出店場所、地域調査、競合店、コンセプト、商材、メニュー、金額設定、内装、器具、従業員、資金などなど挙げればきりがありませんが、要は銀行に対して「開業にあたってこれだけの準備が整っており、その後の経営では軌道に乗せるための戦略と根拠がある」と、実現可能な形でアピールするための書類が出店計画書です。

ところで今、あなたの胸の奥にこんな不安がありませんか?

  • そんな書類なんて書いたことないし・・・
  • 具体的にどう書いたら・・・
  • 自分にできるかしら・・・

しかしまったく心配はいりません。なぜかと言えば、私が代わりに作成させていただくからです。これまでにも数多く作成させていただいて銀行からの融資を取り付けてきましたので、お任せいただければ喜んで作成させていただきます。

簡単な手順としましては、開店に関わることから経営に関することまでじっくりとヒアリングをさせていただきます。場所や規模、集客法や取扱商品、コンセプトなど細かい部分まで丁寧にお話を伺います。

そののちに開業に向けての準備に取り掛かります。営業していた美容室を受け継ぐ場合もありますが新たな場所で店舗を開業する場合には、開店場所を契約して内装の見積もりと各器具や商材などの見積もりを業者に依頼して作成してもらい、出店計画書とそれらを用意して銀行へ申請します。

それから銀行と複数回の面談を経て1ヶ月程度で審査結果が出ますので、入金があり次第着工していよいよあなたのお店がオープンする運びとなります。

コレがなければ開業できない

これまでに何件も開業の相談を受けてお手伝いをさせていただきましたが、そのうちの数人には開業をあきらめていただきました。これから経営者として美容室を切り盛りしていくにあたって資金面よりももっと必要不可欠な要素があります。

これを持ち合わせていない方にはキッパリと今は開業しないようにと申し上げます。自分の美容室を持ちたいという熱い想いに命を燃やしているのはあなただけではありません。人生の大きな節目に立ち会いお手伝いをさせていただく私もまた本気なのです。

ビジョン

まれに具体的なビジョンもなしに見切り発車をする血気盛んな方もいらっしゃいます。「いつやるの?」と言わんばかりに猪突猛進する、湧き上がる情熱に従うことも時には必要ですが、闇雲に突っ走れば実はその先は崖だったということに落ちてから気づくという最悪の結果になりかねません。

頭の中にリアルな世界を描いてすでに営業を開始しているレベルにまで主線伏線を張り巡らせます。目を閉じれば施術の音がする、店内のにおいがする、お客様の足音が聞こえる、笑顔が見える、そんな明確なイメージを完成させてください。

ハンガー、電球の予備、ガラスクリーナーのような細かいところまでしっかりイメージできていますか?経営とはすべてに責任を持つことから始まります。目立つところばかりではなく目立たないところ、さらには見えないところにまで気配りをする必要があります。

USP

USPとは「unique selling proposition」の頭文字ですが、「独自の価値」という意味を持って使われる言葉です。あなたが世界にひとりであるように、あなたにしかない世界にひとつの価値があります。それをお客様へのサービスとしてどのように実現するかが重要になってきます。

安売りや値引きですか?誰でもできます。
技術ですか?上手な人はいくらでもいます。
豪華な店舗ですか?美人は3日で飽きます。

お客様のニーズとあなたへのウォンツがあれば間違いなく繁盛店へと成長していくでしょう。「お客様に何をご提供できるだろうか?」「自分にしか実現できない価値とは?」「そもそも価値とは提供するものなのか?」そんな自問自答を100回繰り返しても答えは見つからないかもしれません。しかしあきらめずにとことん考え抜いてください。

どんな痛みを感じている?どんな未来を望んでいる?幸せとは何だろう?・・・お客様のことを心から想うことを忘れずにいることで見えてくるもの、聞こえてくるもの、感じてくるものがあるはずです。

そして最後に自分を信じましょう・・・

あなたのUSPは何ですか?