売上の計算式

美容室全体の売上を向上させるためには当然ながらスタッフ1人あたりの売上が伸びる必要があります。スタッフひとりひとりが看板を背負ってお店の代表としてサービスのご提供を行い、お客様の満足が結果として数字になって現れてくるのです。

売上 = 顧客数 × 顧客単価

施術を行うお客様の数が増えても一人当たりの顧客単価が低ければ量の仕事となってしまいます。例えばあるチョコレート専門店で一万円の高級チョコをひとつ販売する間に、10円チョコを販売しているお店は1000個販売しなければ同じ売上にはなりません。しかしこの高級チョコが1ヶ月に1個しか売れないようでは到底営業は成り立ちません。

それぞれの要素が掛け算になることで売上が増えていきます。どちらかがゼロなら売り上げはゼロですし、それぞれが2倍になれば結果として4倍になります。

ところで美容室スタッフ1人あたりの売上平均がどのくらいがご存知でしょうか?もちろん自店の売上は把握されていることでしょうけどもそれがいったい高いのか低いのか・・・。他店の売上を知ったところで自店の売上があがるわけではありませんが目安として把握しておいて損はないでしょう。

1人で営業されている美容室様では1人あたり1ヶ月70万円が平均で顧客単価は7500~8500円くらいです。また、複数スタッフで営業されている美容室様ではスタッフ1人あたり1ヶ月80万円が平均で顧客単価は7000円くらいです。

地域や店舗によって前後するとは思いますが、この数字を常に上回るようにPDCAサイクルを継続することで美容室全体の売上も安定していくでしょう。

※PDCAサイクル
Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)
計画を立てて実行し、その結果に対して評価や点検を行った上で改善し、それを基にして再び計画を立てて実行し・・・というサイクルを永続的に行うことで業務向上の上昇スパイラルを実現します。

お客様目線のホームケア

お客様が美容室から一歩外へ出ればそれで仕事は終わり?かと言えば違いますね。むしろお客様が美容室にいらっしゃらない期間をどれほど幸せに過ごしていただけるかが大切です。

お客様は毎日あなたの施術された髪を鏡で見て、手で触れ、スタイルをして、ケアしています。あなたが毎日お客様のお宅までお伺いしてケアできればいいのですがそうはいきません。

そこでホームケアのご提案が重要になってきます。お客様の頭皮や髪の状態に合わせた施術だけではなく、次回のご来店まで健康で美しい髪をお客様自身で保つことができるようなホームケア商品のご紹介をしましょう。

施術の部分では特に、今日から次回のご来店までのカラーやパーマ、髪の長さの変化を意識して行う必要があります。お客様がその間どのように過ごしたいのか、また期間の長さによって最適なスタイルのご提案も必要になってくるでしょう。

いずれにしても時間の流れを意識した上で、お客様が自宅で持続し再現できる希望のスタイルをご提供できることもまた施術力のひとつなのではないでしょうか?

お客様目線のご提案

顧客数の獲得の前に最低限防がなければならないのが失客です。現在の顧客満足なくして顧客数の増加はあり得ません。穴の開いたバケツで水をすくい続けるよりも先にバケツの穴をふさがなければいけないのです。

また覆水盆に返らずとも申しますように、一度お盆からこぼれた落ちた水は期待を裏切られた怒りによって二度と戻ることはないでしょう。それどころかその裏切りの事実は大地に果てしなく広がっていき、その場所で再び水をすくうことすらできなくなるかもしれません。

まず大切なことはお客様の来店動機をどれだけ汲み取れるかというスキルです。このスキルとは小手先のテクニックではなく人間力とも言い換えることのできる、相手を想う気持ちによって見えない部分を感じて施せる能力です。

お客様は変化を求めています。現状から1ヶ月前のスタイルに再び戻るための変化かもしれませんし、これまで経験したことのない新しいスタイルへの変化かもしれません。外見だけではなく習慣の変化かもしれませんし、気持ちの変化かもしれません。

次のようなお話があります。

あるところに優秀な整形外科医がいて、事故によって負ってしまった傷跡を元に戻してあげるのが彼の仕事です。その日もある少女が両親に連れられて彼のもとにやってきました。両親の話では事故のために顔に傷を負ってしまい、それ以来変わってしまった自分の顔に少女はひどく落ち込んでいるということでした。

しかし、彼の素晴らしい技術によって手術は無事成功をおさめ、少女は以前と同じ顔を取り戻したのです。その姿に両親は安堵し、また手術を行った彼もその結果に大変満足しており、顔に巻かれていた包帯をはずしたその病室は喜びに満ちていたのです・・・ただひとり少女を除いて。

少女は手鏡の中の自分を見て「何も変わってないわ・・・」とひとり悲しい表情を浮かべたのです。両親や彼は「もっとよく見てごらん?傷跡もすっかりきれいになって昔と同じ顔に戻れたんだよ?」と少女にやさしく語りかけましたが、少女は「先生のおかげで顔の傷跡はきれいになったけど、傷跡のあった頃から私は何も変わってない・・・」と。

このお話、あなたはどのように感じますか?

口コミの広がるフロー

ある日、落ち着いたウッディな喫茶店の窓際にあるテーブルであなたは親しい友人を待っています。月に1度は会うほどにお互いの趣味や性格などを知り尽くした飾らない付き合いのできる友人です。

乾いたドアベルが聞こえた後に姿を見せたあなたの友人が、たった1ヶ月会っていないだけなのに羨むほどきれいで艶やかな髪をしていたら、あなたは思わず目を丸くしてこう聞きませんか?

「すごくいいじゃない!どうしたの!?」って。

そこから怒涛のごとくあなたの質問が友人の変身ぶりを暴こうと浴びせかけられることは確実です。どこで?何をして?どんな風に?いくらで?お手入れは?教えて教えて・・・。

それは、友人のようにきれいで艶やかな羨むほどの髪を手に入れたいからに他なりません。友人は本当はその感動体験を独り占めしたかったかもしれませんが、幸せがあふれ出てしまっているので隠しようがありません。いや、もしかしたらあなたの質問を心の中では手ぐすねをひいて待っていたかもしれませんね。

一時期ステルスマーケティングが問題になりましたが、口コミはわざわざこちらから仕掛けなくても自動的に広がっていくものです。もちろんこちらからの働きかけがそれを加速させますが、社会は人と人とが神経細胞のように網目状につながりあっているため、共有される情報も蜘蛛の子を散らすように広がっていきます。

それがあなたにとって良い情報であれ、悪い情報であれ・・・です。