店舗年齢はいくつ?

街中で見かける新規開店の美容室はいつでも時代を先取りしたオシャレでしばらく眺めていたくなるワクワク感があります。足早に通り過ぎるビジネスマンや買い物の帰りらしき自転車の女性も真新しいデザインに包まれた店舗に視線を奪われています。

美容室に限らず新規開店の店舗はいつでも時代を反映した素晴らしいデザインやコンセプトを持っています。どこにでもあるようなスタイルの店舗を構えて営業展開したところで結局は二番煎じになってしまいお客様は見向きもしてくれません。だからこそ新規開店には独自のコンセプト新鮮なデザインが欠かせません。

しかし・・・

不思議なもので、あんなに新鮮さにワクワクしていた感情はあっという間に薄れ、その新規開店した美容室の前を通りかかってもそこに美容室があることすら感じないほど意識しなくなります。

最新だったデザインは街の景観の一部と化してしまい、開店当初の賑わいもなく、競合店の出現により独自のものは独自ではなくなり、どこにでも存在するお店になってしまうのです。

とある女装家を初めてテレビで見たときは「何だ!?」とニューカマーを驚きとともに釘付けになって見てましたが、いつの間にかテレビでその方を見かけても特別新鮮さも驚きもなく普通のタレントさんだという認識になっています。

世間は秋の空よりも心変わりが速く、時流は本人が認識している以上にめまぐるしく変化しています。生まれた瞬間から新鮮さは時計の針に合わせて徐々に失われていきます。

開店当初と同じメニューで大丈夫ですか?

流行を追いかけることを恥だと感じている方がいらっしゃるかもしれませんが、角度を変えて見れば流行とは顧客ニーズですから、そこから目を背けることはつまりお客様から目を背けていることにつながります。お客様のニーズは常に変化しているので、もしかすると思い込みを押し付けているだけになっているかもしれません。

年代別顧客傾向

すでに美容業界では常識になりつつあるデータですが、新規客の獲得が見込める店舗は、

新規開店から5年以内です。

新規開店やリニューアルしてから5年以上経っているにもかかわらず同じベクトルで営業展開していると非効率的な不要な努力を費やすことになるかもしれません。

もちろん営業の軸となるコンセプトは常に背骨のようにピンと伸ばしたままでなければいけませんが、一定の周期でデータや声をしっかりと整理して最適化しなければいけません。

ターゲットを最適化する場合には、それぞれ世代別の特徴を把握しておくと分かりやすくなります。

20~30代 他の世代に比べて消費量が少ない。エコロジーへの関心とナチュラル志向が高く、精神的な安らぎを求め、見栄を張らない傾向がある。古いモノを好む人も多く、何よりも高い情報収集力を持っていることが顕著である。
40代 美容室を転々と変えるケースは少なく、一度満足のいくお店や商品を見つけるとずっと使用し続ける傾向がある。技術重視、品質重視であり、結果的に要求されるサービスが細分化しやすい。
50代 こだわりが強く自分の意見をしっかりと持っているため、新しい情報や流行に左右されにくい傾向がある。またこだわりが強いので同じ趣味嗜好を持つ人に共感を得やすい。
60代以上 空間を重視する傾向があり、居心地の良さやその時間をどのように有意義に過ごせたかが満足度に大きく影響する。物や技術といった単体ではなく感情を含めたトータルとして得られたものを重視している。

お客様をリアルにイメージすることができれば、あとは自動的にサービスやデザインなどが次々と決まっていきます。すべての取捨選択は「このお客様に喜んでいただけるか?」というたったひとつの基準で決断することができます。

情報とはライフライン

美容室を時流へ最適化することを怠っていると徐々に恐ろしい影が忍び足で近づいてきます。架空のお話ですがビジネスの世界では頻繁に戒めの言葉として使われている「茹で蛙」のお話をご存知でしょうか?

実験のために2匹の生きたカエルを用意します。実験室には2つの鍋が用意されていて、それぞれの鍋の中へカエルを一匹ずつ入れます。ひとつの鍋はすでに火が点けられておりグツグツと煮えたぎった熱湯で、もうひとつは常温の水ですがカエルを入れてから火を点けます(かわいそうですが架空の話です)。

当然のことながら熱湯に入れられたカエルはあまりの熱さに身の危険を感じてすぐに飛び出してしまいますが、もう一方の鍋に入れられたカエルは水が常温であるために火が点いていることも知らずにそのままじっとしています。

結果どうなったか?

常温の鍋に入れられたカエルは少しずつ緩やかに上がっていく水温に気付かずについには茹であがって死んでしまったのです・・・(繰り返しますが架空の話です)。

時代の流れを常に新鮮な状態で仕入れ続けていなければ、徐々に変化する時代に気付かないまま茹で蛙と同じ運命を辿ってしまうかもしれません。

美容室へ足を運んでいただけるお客様の声はもちろん必要ですが、美容室へ足を運んでいただけないお客様以外の声もまた重要です。未来のお客様の声として時流を意識した新鮮な情報を取り入れていかなければ、新たなお客様の獲得は難しいものとなってしまいます。

最新情報を入手する方法

テレビや雑誌などのメディアでも流行を知ることはできますが、それが美容室に関係のある情報なのか、美容室に活かせる情報なのか、またどのように活かせばよいのかが今ひとつ悩むところではないでしょうか?

実は意外と身近なところに、すぐにでも活用できる最新情報を提供してくれる場所があります。ターゲットとして描いている未来のお客様が今何を求めているのか、またそれを具体的にどのように実現すればよいのかを知ることができます。

それがセミナーです。

各メーカーは商品開発の前段階で莫大な費用と人と時間をかけて市場調査しています。おそらく美容室様が個々でこれを行うことは費用対効果の面で難しいでしょう。綿密なリサーチを重ねてニーズを掴み商品開発へ踏み切っているのです。

例えば大手弁当チェーンの「オリジン弁当」の出店戦略は明確です。

コンビニエンスストアは全国の各店舗からデータを集積しており、それを長期間分析することによって利益が出る立地を選んで出店し現在の競争の中で生き残っている。つまり、コンビニエンスストアの近くにオリジン弁当を出店すればマーケティングコストを大幅にカットできる。

各メーカーの最新情報が集まるディーラーが開催しているセミナーはまさに「コンビニの近く」です。セミナー内容もカットからカラーやパーマ、メイクまで多彩に行われており、それぞれのセミナーで市場の動向を掴むことができるのです。