美容室が見えてくる4つのデータ

美容室乱立時代と言われ続けてしばらく経ちますがその状況は今も変わらず、駅前だけでなく住宅地の真ん中や商業ビルの1フロア、角を曲がれば美容室があるといった例え話も出てくるほどです。

特に最近では安価な大型チェーンが拡大を続けており、大きな資金力を武器に莫大な集客を見込める立地に大規模な店舗をオープンさせて事業展開しています。

各店舗にコンセプトの違いはあれ、競合店となり得る美容室はそこらかしこに点在していて、どのお店も独自性を打ち出そうと試行錯誤しています。

現在のこのような状況を見れば、人口分布に対して美容室件数の割合が大きくなっていることは明白であり、飽和状態だと言わざるを得ません。

平成24年のデータ
日本の人口 1億2751万5000人
美容室数 22万8429店舗
コンビニエンスストア数 5万101店舗
郵便局数 2万4240局

このデータからも分かるように、町のあちこちで営業しているコンビニエンスストアの4倍以上の美容室が営業しています。もはや過当競争は進んでいて後戻りできないレッドオーシャンと化しているようです。

心が折れる2つのデータと4つの計算

日本の人口は少子化が叫ばれながらも1億2千万人を超えていますが、そのすべての人が美容室を利用しているわけではありません。性別や世代、職業や環境、価値観などにより美容室を利用している人口の割合はずっと下がってきます。

実際に人口から割り出される美容人口は3.5%だと言われていますので、ご年配の方から赤ちゃんまで含めて100人中3.5人が美容室を利用するであろうと考えられます。

このように先ほどの4つのデータから見えてくる現実的な数字は、足がすくんで震え出すほど衝撃的な数字です。

データの種類 算出結果
美容人口は全人口の3.5% 446万3025人
美容室1店舗あたりの美容人口 19.5人
(再来店周期) (平均2.5ヶ月)
1ヶ月のお客様の人数 7.8人
(客単価) (平均6000円)
1ヶ月あたりの売上 4万6800円

※( )は一般的平均値を使用

人口比率で考えるとこのように恐ろしい結果が導き出されます。さらにディスカウント店が現れ、ホームカラーがメジャーになり、ドラッグストアで手に入るヘアケア商品・・・戦わなければならない相手は競合店ばかりだとは限らないのです。

4つの武器

これほどの厳しい状況下では小手先のマーケティングに走ると逆効果になってしまうかもしれません。50%オフのキャンペーンを行い、高額な折込チラシを何万枚も配布し、情報誌に広告を出しますか?

時にはそれも効果的でしょう。しかし、もしかすると目の色を変えてマーケティングに取り組むあまり盲目になってしまい、視線の先にいるのはお客様ではなく数字ばかりになってしまいかねません。昨日の数字、今日の結果、明日の戦略・・・お客様不在のサービス業はこの戦場で生き抜くことはできないでしょう。

多くの美容室様とお付き合いをさせていただき、繁盛店として成功を維持し続けているお店には4つの共通点があることが分かっています。この4つの要素を兼ね備えた美容室様は、他の競合店の進出やドラッグストアのディスカウント商品の台頭にもまったく影響を受けずに安定した経営をされています。

そもそもお客様ひとりひとりには何かしらのご来店動機があり、無数にある美容室の中から1つだけをピックアップしてご来店いただいています。もしその理由がただ安いだけのお店だということであれば、そのお店の価値は安さのみということになります。

そのお客様に対して新しい満足度の高い価値をご提供できなければ、他にもっと安いメニューを打ち出しているお店が現れたとたんに失客してしまいます。

ご来店動機としての安さは、敷居を下げるという意味で有効に働きますが、お客様がお店をお帰りになる際に安さ以上の価値と満足を感じていただいていないと、そのお店は結局「ただ安いだけのお店」という位置に定着してしまいます。

選ばれる美容室になるために必要なこと

1、人間性

何よりも大切なことはお客様よりご好意を持っていただける人間であるということです。信頼により結びついた良好な人間関係はすべの感動の基礎となります。「あの人にお願いしたい」と言っていただけるような人間性を持ち合わせることで、自然と多くのお客様に支持されるようになります。

2、技術

お客様はワクワクしながら胸を高ぶらせる未来予想図を持ってご来店されます。美容室から帰る時の理想を手に入れた感動を思い浮かべては笑みがこぼれてしまうのです。もしかするとあなたの人間性に好意を寄せているファンですから、新しい提案をいただけないかとドキドキしているかもしれません。カウンセリングから施術、フォローまでの高い技術はお客様に安心感をご提供できます。

3、知識

お客様の置かれている状況はひとりひとり異なります。そのためには入念なカウンセリングが必要なのですが、すべてのお客様が自分の抱えている悩みや解決したい問題を完璧に説明できるわけではありません。高い技術をもったあなたの目で直接確認する必要のあるものや、時にはお客様の体調や体質の変化にも気を向けなければいけません。正しい判断をするためには広く深い知識が必要ですし、さらにはあなたの専門的なアドバイスに高い信頼が寄せられるでしょう。

4、感性

技術でもない、知識でもない、お客様にあなたの熱狂的なファンになってもらうために必要な要素が感性です。あなたの感性こそ世界中の誰にも真似できない独自性であり、小手先の器用なライバル美容師でさえ永遠に盗むことのできない要素です。この感性を果てしなく追及することで唯一無二のカリスマとなれるのではないでしょうか。